6月号---前月の解答と今月の問題[これぞパズル!]
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前号の問題の再掲と解答
A)~H)は、三角形の辺上に三つ、または七つの数が、ある条件で並んでいるところです。どの場合も、〇に入る数は自然数で、各辺の数の間の間隔は皆等しく、(等差数列)、かつ、一つの三角形の中の数は全て異なっていて、〇に下記のそれぞれの個別の条件に合う数を入れた時、一つの三角形の数の合計が最小になるのはそれぞれ幾つでしょうか。
この問題のテーマ
間隔(公差)がnの倍数でない時、等間隔に並んだn個の数の中には必ず、nの倍数が出現する―ということにあります。例えば間隔4の場合、三個の数1,5,9は3で割ると順に余り1、余り2、余り3(=0即ち割り切れる)、というように順々に余る数が増えていき、三つ目には必ず3の倍数が出てきてしまうからです。ですので、全てが3で割り切れないということは、全てが3で割ると1または2余る数ということでなければならず、間隔は3の倍数でなければならない一方で、全てが4で割り切れないという時は、並んだ数が4個未満なら間隔は4の倍数でなくともよい、となるわけです。これらに気づけば今回の問題は簡単に出来るとなります。(なんとなく探しても入れられることは入れられますが。)
A)は解答例 【 B)~J)の解答文は青文字で記しています。】
A) 問題文の下線部条件以外はありません。 B) 全てが3の倍数
1 〇
/ \ / \
4 2 〇 〇
/ \ / \
7 ―― 5 ―― 3 〇 ―― 〇 ―― 〇
6個の数の最小の合計値[ 22 ] 6個の数の最小の合計値[ ]
B)の解答 <理詰めによる解答 > <〇の数を求めて出した解答>
全ての数が3の倍数なら、A)の 3
三辺上の数に3を掛けたものが 12 6
3の倍数だから、答は22×3で 21 15 9
[66]。 上図のすべての数を足して答え[66]
C) 全てが3で割り切れない数 C)の解答
〇 <理詰めによる解答 >
/ \ 等間隔に三個並んだ場合間隔が3の倍数
〇 〇 でないと 3の倍数が現れてしまう。
/ \ 間隔が3の倍数だったら、 全て、3で割ると
〇 ―― 〇 ―― 〇 1余る数にすればよく、そのときが合計は
最小である。よって最小合計値は、Bの最小合
計値の 66から2の6個分を引けばよく66-2×6 =54となる。
<辺の各数を求めて出した答>
1 どの二つの数の差(公差)も3の倍数
10 4 で、3で割ると1余る数が最小だから、
19 13 7 B)の 各数から2を引いたものでよく
左図が作れ、全数足して 答は[54]
D)の解答
問題図 全てが4の倍数 <理詰めによる解答>
〇 B)の理詰め同様、22×4の88が答となる。
/ \ < 辺の各数を求めて出した答>
〇 〇 A)を4倍した数でよいから、辺上の数は
/ \ 下 図となり、答は88となる。 4
〇 ―― 〇 ―― 〇 16 8
28 20 12
E)の解答
問題図 全てが4で割り < 辺の各数を求めて出した答>
切れない数 三個しか並んでない場合は、間隔は4の倍数で
〇 ある必要はなく、右辺に1,2,3そして左辺に4の
/ \ 次の数の5が来ることになり、後は条件通り数
〇 〇 を探せば、下図となり合計は[26]となる。
/ \ 1
〇 ―― 〇 ―― 〇 5 2
6個の数の最小の合計値[ ] 9 6 3 <理詰めによる解答>
3で割り切れない数の場合と同じように、1余る
ない様です。詳しくはI)の解答をみられたし。
F)の解答
F)一辺の数の個数が7個ある場合で <辺の各数を求めて出した答>
個別の条件がない場合
1 右辺に1,2,3,4,5,6,7を置くのが合計が最少になり
8 2 ます。次は左辺の上から数えた第二項が、7の次の
15 3 8が最小で、左辺 の間隔は7と決まり、左辺の数
22 4 は順に15,22,29,36,43となる。これで底辺の間隔
29 5 は(43-7)/6(間の数は植木算で6個)の6と決ま
36 6 り、7の次から順に、13,19,25,31,37,43、となる。
理詰めによる解法は特にないようです。
ただ、これが最小であることのすっきりとした説明
が弱く、やや説得力不足は否めませんね。詳しくはI)
の解答をみてください。
H) 辺の数の個数が7個で、 H)の解答
全てが7で割り切れない数 <辺の各数を求めて出した答>
1 F)の辺上の数を全て7倍すれば、全て7の倍数の図が
50 8 でき、次に7で割ると1余る数にすればよい。つまり
99 15 F)図に7を掛けてできた各数から6を引けば 左図を
148 22 得て、合計は2034となり、これは最小である。
197 29 < 理詰めによる解法 >
246 36 F)の306に7を掛け(すべて7の倍数の場合の合
I)の解答
I) 辺の数の個数が7個で、
すべてが8の倍数の場合 <辺の各数を求めて出した答>
8 F)の辺上の数を全て8倍すれば、全て8の倍数の図が
64 16 左図のようにでき、合計して最小の合計値が得ら
120 24 れる。答えは2448となる。
176 32 <理詰めによる解法>
232 40 最小の合計値を出すだけなら、F)の合計値を8倍す
288 48 ればよく、答えは2448となる。なお、これが最小
344 296 248 200 152 104 56 になる事は、K)の解答を参考にされたし。
J)の解答
J) 辺の数の個数が7個で、全て
が8で割り切れない場合。 今度は7で割り切れない数の場合と異なり、各数
の間隔は7の倍数である必要はなくなります。
1 1から始めて間隔が1でも、その辺に8が現れない
9 2 から。
17 3 したがって、左図が合計が最小になる図になり、
25 4 最小の合計値は足して342となります。
33 5
41 6
49 42 35 28 21 14 7
I)一辺にn個(全部で{3n-3}個)の数がある場合で、全数の最小の合計値をnの式で表して下さい。いわゆる一般式ですが、求めた解の全数に同じ数がないこと、その合計が最小であること、の二つの理由も示して下さい。但し、問題文の下線部条件(①~③)以外が無い場合で考えて下さい。
〇
〇 〇
/ \
/ \
/ \
/ \
〇 ー ー ー ー ー ー ー ー ー 〇
I)の解答
(青色文字でなく黒色文字で表記しました。)これは理詰めで考えるしかなく、各数値を次のように定義し、考えてみました。
三角形の中央上部の頂点 a
辺上にある数の個数 n個
右辺の隣り合う数の差(間隔又は公差) d
左辺の隣り合う数の差(同上) e(e>dと仮定---辺上の数は皆違いe=dはあり得ない)
底辺の隣り合う数の差(同上) f
a,n,d,e,fは全てが自然数
すると、下図のような図が出来ます。
a
a+e a+d
a+2e a+2d
/ \
/ \
/ \
/ \
a+(n-1)e,a+(n-1)d+(n-2)f, ー ー a+(n-1)d+f, a+(n-1)d
=a+(n-1)d+(n-1)f
上図からa+(n-1)e=a+(n-1)d+(n-1)f ➡ e=d+f---①
また、eとd両方ともにnより小さいと、左辺、右辺には同数が現れてしまう。なぜなら
左辺の上からd個目の値はa+d×e、一方右辺の上からe個目の値はa+e×dだからで、edのどちらかがn以上であれば辺の上にはa+d×e、a+e×dの二つが同時に現れることはないので同数が現れることはない。以上から d×e≧n、 これとe≻dから 辺上の数が最小になるのは、d=1、e=n で同時にa=1の場合である。これと①からf=n-1となり、辺上の値をnで表すと下図になり、これが全数の合計が最小な場合と言える。
1
1+n 2
1+2n 3
/ \
/ \
/ \
/ \
1+n×n-n, n+(n-2)(n-1), ー ー n+2(n-1), n+(n-1), n
次に、上図には同じ数がない理由です。左辺と底辺の数は右辺の最大値nより皆大きいから、左と右及び右と下の辺上には同数は無い。次に、左辺と底辺に同じ数が存在しない事を次のように説明できる。
①頂点(値は1)から左辺の下方向にm個目の数---1+mn(ここでm≦n-1である)
②底辺右端(値はn)から左側にx個目の数 n+(n-1)x(左のxは掛けるでなくアルファベットのxです。)
①と②が等しい時のxを求めると x=mn/(n-1)-1 。これが整数であるのはm=n-1の場合に限られ(m=2(n-1)では合計値は最小とはならない)、このことはn-1番目(左下の頂点)で初めて等しい数が現れることを意味し、それまでの左辺・下辺の数の中には同数は存在しない、といえます。以上から、上図のnで表した値は全て異なる、となります。
ところで、個別の条件がある場合ですが、yをn<yの自然数として、すべての数がyの倍数、および全ての数がyで割り切れないとした場合も、詳しく考えて行けばnとyの式で最小の合計値を表すことは出来そうですが、これは別な機会にということに致します。
前回のこの問題は、難なくできてしまい、なんでこれがパズルなのといぶかしく感じられたかたも多かったと思われますが、h)、j)だけ出されると意外に迷う問題かと思っていますがいかがでしょうか。(松谷様、ご感想のメール又はコメントください。)
辺上の数---付録編
つい最近あるパズル本で見たもので、まさに「辺上の数」にふさわしい問題がありましたので、ここで紹介し、次回に私が考えついた(三日かかりました)解答を掲載いたします。実は、このパズル本の解答では、今月の変則魔法陣(下段の項目「問題A」)の解法と同じ手法が使われていましたが、私の解法はそれとは違いました。また、そのそれとは違う解法で解いているとき、偶然興味深い事象に気づき、それを応用したユニークなパズル問題ができそうで、近々出題させて戴きたく思います。そんなわけで、この付録問題も是非チャレンジしていただきたく思います。
問題『下図の正三角形の辺上に並んだ( )に、1から9までの数を全部入れて、各辺の4個の数(かっこの数の二乗の数)の合計が、3辺のいずれについても等しくなるようにしてください。』
( )²
/ \
( )² ( )²
/ \
( )² ( )²
/ \
( )²-( )²-( )²-( )² ここの横線は引き算に非ず
以上で前号の話は終了です。
2023年10月3日記;下記の魔法陣の「法」は「方」の誤りです。謹んでお詫びいたします。
今月の問題---前号の予告と違え、魔法陣と穴埋め算です。
パズル本などを見ると、必ず出て来るのが、魔法陣と穴埋め算です。「これぞパズル」と力んだのはこのためです。今回のこの問題は私の自作で、20年ほど前に作っていたものです。例によって解法・答忘れていて思い出すのに苦労しました。(問題はコピーしてファイルしてるのですが解答は記述したものは取っていませんでした。)殊に、問題Aの変則魔法陣は数の絞り方に苦心しました。普通の魔法陣同様、三分割だけでなく、4分割(4升正方形が9個)、5分割(4升正方形が16個)、---でも考えられますがかなりの難問のようです。(普通の魔法陣は解法が確立されていますが、この変則問題の解法はマニュアル化できるか否か不明です。---実は、簡単なだれでも気づくようなマニュアルがありました。その意味で、これぞパズルなどと大見えきったったのは恥ずかしいばかりで、これがズブの素人たるゆえんです。6/19記。現在中央の値が5になるものが一通り、5以外の1~9になるものが二通りづつ(全部で17通り)見つかっています。(ただし、答の個数の数え方は、各4升の数の合計値と中央の値の両方が同じものは同一の答とみなすことにします。)
問題文の中で「問題1で、現在3通りの答が---」は間違いで、上部の傍線部分が今のところ正しいです。実はもっとあるようです。(6/19記)
問題Bは小町算の=100を=11111にし、数の並びを変えられるようにしたものですが実は、当初の問題文は穴埋めでなく算式自体が示してない、式作り問題でしたが、これはかなり偶然に頼るしかない解法なので、算式を表示して穴埋め算にした次第です。これは答は一パターンだけのようです。これを解くには、電卓の使用はもちろん、素数や、約数は検索せざるを得ず、実際に検索しながら考えてください。ただ、解は一通りと断られていれば、勘だけで探し出すことも不可能ではないと思います。
今月の問題[これぞパズル!]とおおみえをきったのは、決まったやり方、即ち公式も定理もましてやマニュアルなど全くなく、ただただその都度工夫して見つけて行くしかないところにあります。従いまして出来たときの喜びは大きく、自分もまだまだ捨てたものでないという満足感を得られることと察します。これがパズルであり、学生たちが必死で覚えて真似するだけの、マニュアル化された学校の算数・数学とはまた別のものと感じていますがいかがでしょうか。(学校方式の方が実は簡単、という場合も無きにしも非ずで、数学の先生には「そんなことは常識だよ」などと揶揄される事もありそうですが。)
以上で今月号を終了いたします。このブログの宣伝・流布の程よろしくお願い申し上げます。